じみたの好きなアルバム
管楽器がリーダーのもの


Blow, Arnett, Blow
Arnett Cobb



1. When I Grow to Old to Dream
2. Go Power
3. Dutch Kitchen Bounce
4. Go Red Go
5. The Eely One
6. The Fluke

Arnett Cobb (ts)
Eddie "Lockjaw" Davis (ts)
Wild Bill Davis (org)
George Duvivier (b)
Strethen Davis (org)
Arthur Edgehill (ds)

1959年1月9日 録音

 私はホンカーが好きです。テナーはブロウしないとですね。ブロウですよ、ブロウ。テナーの良さ、ジャズの良さはこういうところにもあります。

 ホンカーといえば、まずアーネット・コブかイリノイ・ジャケーでしょうね。このアルバムはアーネット・コブがリーダーですが、エディー・ロックジョー・デイビスも参加しています。ロックジョーはホンカーではありませんが、結構近いものがあります。ロックジョーをホンカーという人もいますが。ブロウテナーである事には間違いありません。という事でこのアルバムはブロウ率が2倍です。

 とにかく全曲ブロウです。気持ち良いです。またこういうジャズにはピアノよりオルガンが合います。オルガンがホンカージャズの良い感じを出しています。

 1曲目はミディアムのナンバー。2人にしては割と控えめな演奏ですが、それでも他のテナー奏者に比べればブロウ傾向にあります。楽しい演奏です。

 2曲目はアップテンポのリズムチェンジ(循環)の曲。やはりこういうテンポの速い曲だと思いっ切りブロウしてしまいますね。ソロの先発はアーネット・コブですが、もう1コーラス目からブロウです。これぞアーネットでしょう。ホンカー度100%です。もちろんロックジョーもブロウです。

 3曲目はミディアムの曲。4曲目はアップテンポ気味の曲で、テーマに入る前に最初アーネットとロックジョーが交互に吹くのですが、ブロウの追いかけっこです。5曲目はミディアムのブルース、6曲目はミディアムファーストの曲です。

 全曲、テンポはミディアム以上、キーはメジャー、リズムはスイング。バラードやマイナーの曲はありません。ホンカーが苦手な人はこのアルバムは全くダメでしょうね。これを1枚通して楽しめる人はホンカー人になれます。

 またテナーが2人以上の演奏というのはどうしてもバトル感がありますが、これはそうではなく、2人で楽しんで演奏しているという感じです。バトルではないのがこのアルバムの良いところです。



Maiden Voyage
Art Farmer



1. Nica's Dream
2. Ruby, My Dear
3. Blue Bossa
4. Goodbye Pork Pie Hat
5. Blue in Green
6. Maiden Voyage
7. Naima

Art Farmer (flh)
Ron Carter (b)
Jack DeJohnette (ds)
他 (strings)

1983年3月 録音

 いつの時代もアート・ファーマーは渋い演奏をしますね。どのアルバムも実に良くまとまっていて洗練された演奏だと思います。マイルスも自叙伝で褒めています。

 アート・ファーマーのアルバムといえば、まず「モダン・アート」でしょうかね。アート・ファーマーはもちろん素晴らしいですが、ベニー・ゴルソンがまだあのビブラートになる前の頃です。ピアノが意外な事にビル・エバンスです。曲はゴルソンの「Faire Weather」やジュニア・マンスの「Jubilation」などが入っていて、私も好きです。

 この「処女航海」はストリングスが入っていて、どの曲もかなり凝ったアレンジがされています。1曲目はホレス・シルバーの「ニカの夢」ですが、これも良いアレンジだと思います。バックの演奏はかなり凝ってますが、アート・ファーマーはいつものとおり。これが良いのです。



Soran-Bushi
Billy Harper



1.Trying To Get Ready
2.Loverhood
3.Soran-Bushi-B.H.

Billy Harper (ts)
Everett Hollins (tp)
Harold Mabern (p)
Greg Maker (b)
Horacee Arnold (ds)
Billy Hart (ds)

1977年 録音

 ソーラン節です……ったく、ビリー・ハーパーはなんちゅうもんを出すんぢゃ……(^^;)

 コブシが利いています。テナーでコブシをやっています。なぜこの曲をやろうと思ったんでしょうか?ピアノはハロルド・メイバーンですが、どう思ったのでしょう?ビリー・ハーパーはこのアルバムだけでなく、何度もソーラン節を演奏しているようです。はぁ~、好きなんですねぇ。

 いや~、この演奏は一回聴くと忘れられませんよ。面白いですよ、これ。

※ハーパー自身がライナーノーツに次のように書いています。
「私はこのアルバムの録音にあたり、私にとって特別な意味を持ち神聖である曲、ソーラン節を選びました。というのは、私はこの曲に自分の子供の頃“黒人教会”で吸収した、あの“ソウルフルな美しさ”を感じるからです。ここにあるのが私の心から生まれたソーラン節です。みなさまが私の意図するところを理解し、私の心になって、この曲を聞いて下さるよう心から願っております。」



Blue's Moods
Blue Mitchell



1. I'll Close My Eyes
2. Avars
3. Scrapple from the Apple
4. Kinda Vague
5. Sir John
6. When I Fall in Love
7. Sweet Pumpkin
8. I Wish I Knew

Blue Mitchell (tp,)
Wynton Kelly (p)
Sam Jones (b)
Roy Brooks (ds)

1960年8月24日~25日 録音

 ブルー・ミッチェルは渋いトランペッターですね。でもリーダー作はどうなんでしょう?私は昔、中古レコード屋で安売りしていたレコードを1枚買いましたが、それはあまり面白くありませんでしたが。

 このアルバムは良いですね。選曲も素晴らしいです。

 私はブルー・ミッチェルで1曲上げろと言われれば、この1曲目の「I'll Close My Eyes」です。実に気持ちの良い演奏だと思います。ピアノのウィントン・ケリーのソロも素晴らしいです。

 7曲目の「Sweet Pumpkin」はヴォーカリストがたまに取り上げる曲のようですが、インストではこれが一番良いのではないでしょうか。



Cannonball Adderley Quintet in Chicago
Cannonball Adderley



1. Limehouse Blues
2. Stars Fell on Alabama
3. Wabash
4. Grand Central
5. You're a Weaver of Dreams
6. The Sleeper

Cannonball Adderley (as)
John Coltrane (ts)
Wynton Kelly (p)
Paul Chambers (b)
Jimmy Cobb (ds)

1959年2月3日 録音

 キャノンボールがマイルス・デイビス・グループのマイルス抜きでライブ演奏したものです。

 この録音当時、キャノンボールとコルトレーンは演奏スタイルがかなり違います。キャノンボールはバップフレーズ、コルトレーンはこの頃特有のシーツ・オブ・サウンドで攻めていて、スタイルの違いが良くわかります。

 1曲目はデキシーでも演奏する古い曲で、かなりのアップテンポで演奏しています。

 2曲目はバラードのいわゆる「アラバマ」です。キャノンボール、歌っていますねぇ。

 3曲目はキャノンボールのオリジナル曲でミドルテンポの楽しいナンバーです。4曲目と6曲目はコルトレーンのオリジナル。5曲目はスタンダードナンバーですが、テンポを遅めに演奏しています。

 2人とも素晴らしい演奏です。他のメンバーもみんなノっています。キャノンボールの楽しい1枚でしょう。



Clifford Brown with Strings
Clifford Brown



1. Yesterdays
2. Laura
3. What's New?
4. Blue Moon
5. Can't Help Lovin' Dat Man
6. Embraceable You
7. Willow Weep for Me
8. Memories of You
9. Smoke Gets in Your Eyes
10. Portrait of Jenny
11. Where or When
12. Stardust

Clifford Brown (tp)
Richie Powell (p)
George Morrow (b)
Max Roach (ds)
Barry Galbraith (g)
Neal Hefti (arr)


1955年1月18日~20日 録音

 クリフォード・ブラウンは残された録音は全て素晴らしいという人もいるほど偉大なトランペッターです。自動車事故でピアノのリッチー・パウエルと共に26歳という若さで亡くなりました。しかしその若さの割にはアルバムが沢山あります。いかに素晴らしいミュージシャンだったか良くわかります。

 アルバムですが、いわゆる普通のバップものがベストだ、という人が多いかと思いますが、私はこの1枚が良いかと思います。これがクリフォード・ブラウンの代表的アルバムかどうかは別として、演奏は良いです。

 全曲バラードでストリングスが入っています。良く出来たバラードアルバムではないでしょうか。これ1枚で完全に完成されています。このアルバムはそれぞれの曲について書く事はありません。全曲素晴らしいです。



Swing Low, Sweet Cadillac
Dizzy Gillespie



1. Swing Low, Sweet Cadillac
2. Mas Que Nada
3. Bye
4. Something in Your Smile
5. Kush

Dizzy Gillespie (tp)
James Moody (ts, as, fl, vo)
Mike Longo (p)
Otis Finch (ds)

1967年5月25日~26日 録音

 ディジー・ガレスピーの変な曲が入ったアルバムです(^^)

 1曲目です。ディジーが叫ぶのですが、これ、どう聴いても「バリバリバリバリバリバリバリバリ、オカマ!」としか聴こえません(^^)。「オカマ」はいいとして……良くないですが、「バリバリ……」は何でしょうか?ディジーってのは面白い人です。こういうのを曲にしてしまうのはディジーのセンスでしょうね。有名な「ソルト・ピーナッツ」もありますしね。

 2曲目は有名なラテンの曲です。この曲以降は普通にジャズです。



Dizzy's Big 4
Dizzy Gillespie



1. Frelimo
2. Hurry Home
3. Russian Lullaby
4. Be Bop
5. Birk's Works
6. September Song
7. Jitterbug Waltz


Dizzy Gillespie (tp)
Joe Pass (g)
Ray Brown (b)
Mickey Roker(ds)

1974年9月19日 録音

 これはとても渋い演奏です。メンバー的にもピアノが無くてギターというのもあります。ディジーはほとんどの曲でミュートをしていて、これも渋さを増しています。

 1曲目は「Frelimo」となっていますが、これはディジーの曲で「Tanga」と言われているラテン調の曲です。元々アップテンポですが、遅めの実に渋い演奏です。

 4曲目のディジーの古いオリジナル「ビ・バップ」ですが、この歳にしてはアップテンポ過ぎたのか、テーマがちゃんと吹けていません。ディジーおぢさん、ちょっと無理しましたねぇ(^^)

 他はどれも渋い演奏です。



Trumpet Summit
Dizzy Gillespie



1. Daahoud
2. Chicken Wings
3. Just Friends
4. The Champ

Dizzy Gillespie (tp)
Clark Terry (tp, flh)
Freddie Hubbard (tp)
Oscar Peterson (p)
Joe Pass (g)
Ray Brown (b)
Bobby Durham (ds)

1980年3月 録音

 これはトランペッター3人のセッションのようなアルバムです。バックのミュージシャンは全員有名ですがほとんどソロはありません。さすがパブロレーベルのノーマン・グランツ親分、ピーターソンにもソロを取らせないとはジャズ界のドンですな。

 3人の個性はみんな十分出ていて、そういう意味でお得なアルバムです。私は3人とも好きですが……クラーク・テリーは良いですねぇ。これといった有名なリーダー作は無いと思うのですが、数多くのアルバムに参加しています。ちょいと参加しては素晴らしいソロを取ってしまう、ったく憎い人ですよ。マイルスの師匠でもあります。でもマイルスのほうが先に亡くなってしまいましたね。



Fuego
Donald Byrd



1. Fuego
2. Bup a Loup
3. Funky Mama
4. Low Life
5. Lament
6. Amen

Donald Byrd (tp)
Jackie McLean (as)
Duke Pearson (p)
Doug Watkins (b)
Lex Humphries (ds)

1959年10月4日 録音

 ハードバップの素晴らしいトランペッター、ドナルド・バードです。

 1曲目はいかにもバップという感じの曲ですが、コード進行が単純過ぎるのか、若手アルト奏者のジャッキー・マクリーンが少々苦労しています。2曲目のアップテンポの曲では素晴らしいソロを吹いてます。

 3曲目は曲名が「ファンキー・ママ」でブルースです。

 4曲目はミドルテンポの曲、5曲目はアフロの感じの曲。6曲目は楽しいファンキージャズです。



Jaws N' Stitt at Birdland
Eddie "Lockjaw" Davis & Sonny Stitt



1. S.O.S.
2. Jaws
3. Marchin'
4. I Can't Get Started
5. Roller Coaster
6. All the Things You Are
7. Whoops
8. Don't Blame Me

Eddie "Lockjaw" Davis (ts)
Sonny Stitt (ts)
Doc Bagby (org)
Charlie Rice (ds)

1954年 録音

 エディー・ロックジョー・デイビスとソニー・スティットのテナー2人がリーダーのアルバムです。私はロックジョーが大好きで、これはロックジョーのおすすめアルバムです。

 こうやって2人聴き比べると……もちろんスティットも良いですが、このアルバムでは私はロックジョーのほうが好きです。何だか人間臭い感じがして、そこが良いのです。スティットはもちろん素晴らしいサックス奏者ですが、ロックジョーが横にいるとちょっと真面目過ぎるような感じがします。まあでも2人とも素晴らしいですけどね。



Montreux '77
Eddie "Lockjaw" Davis



1. This Can't Be Love
2. I Wished on the Moon
3. The Breeze and I
4. Angel Eyes
5. Telegraph
6. Land of Dreams
7. Blue Lou


Eddie "Lockjaw" Davis (ts)
Oscar Peterson (p)
Ray Brown (b)
Jimmie Smith (ds)

1977年7月15日 録音

 エディー・ロックジョー・デイビスで好きなアルバムです。かなり歳になってからの演奏ですから、少々雑といえば雑かもしれません。でもモントルー・ジャズフェスというのもあり、楽しい演奏です。バックのミュージシャンも素晴らしいです。



Hub-Tones
Freddie Hubbard



1.You're My Everything
2.You're My Everything [alternate take]
3. Prophet Jennings
4. Hub-Tones (Hubbard)
5. Hub-Tones [alternate take]
6. Lament for Booker
7. For Spee's Sake
8. For Spee's Sake [alternate take]

Freddie Hubbard (tp)
James Spaulding (as)
Herbie Hancock (p)
Reggie Workman (b)
Clifford Jarvis (ds)

1962年10月10日 録音

 ブルーノート時代のフレディ・ハバードの中で好きなアルバムです。これ以外だ「Ready for Freddie」ですかね。ブルースの「Birdlike」や「Crisis」が好きです。

 1曲目の「You're My Everything」はスタンダードナンバーですが、かなりコードが変えてあります。よく考えられたコード進行だと思いますし、これで演奏する人も多いです。

 アルバムタイトルの曲はモードっぽいBbのブルースです。いかにもハバードやハンコックがやりそうな感じの曲です。

 しかしこのアルバムで若干苦手なのがアルトのジェームス・スポルディングです。1980年代に開催されたマウントフジ・ジャズフェスティバルで来日したので、あのアイン・シュタインのような風貌を見た人も多いかと思いますが……いや、風貌はどうでもよい。この人の演奏は私は面白いとは思いません。なぜ名門ブルーノートでレコーディング出来たのかが不思議です。



Red Clay
Freddie Hubbard



1. Red Clay
2. Delphia
3. Suite Sioux
4. The Intrepid Fox
5. Cold Turkey

Freddie Hubbard (tp)
Joe Henderson (ts)
Herbie Hancock (ep)
Ron Carter (b)
Lenny White (ds)

1970年1月27日~29 録音

 CTIです。CTIらしいアルバムです。

 この「レッド・クレイ」、カッコ良い曲です。8ビートの曲ですが、キーがC#マイナーで演奏するのは難しいです。

 4曲目の「イントリピッド・フォックス」はハバードが何回もレコーディングしていますが、これが最初の録音です。これも難しい曲です。

 で、レコードに入っていたのは4曲でした。CDで追加された5曲目の「コールド・ターキー」ですが、このアルバム中、この1曲だけ変な曲です。フリージャズのようなイントロの上に「コ~~ルド・タ~~キ~~!」と叫んでいます。レコードでボツになった理由がわかりました。



Sweet Return
Freddie Hubbard



1. Sweet Return
2. Misty
3. Whistling Away the Dark
4. Calypso Fred
5. Heidi-B
6. The Night Has a Thousand Eyes

Freddie Hubbard (tp, flh)
Lew Tabackin (ts, fl)
Joanne Brackeen (p)
Eddie Gomez (b)
Roy Haynes (ds)

1983年6月13日~14日 録音

 このアルバムは、申し訳ないですがタイトル曲などどうでも良いです。重要なのは最後の「夜千」です。これほど爽やかな「夜千」は他にはないでしょう。この曲をこんなに爽やかに演奏する事が良いのかどうかわかりませんが、とにかくスカっとします。朝の音楽です。「夜千」といえばコルトレーンが「コルトレーンズ・サウンド」でモードで演奏していて、そのコード進行で演奏する人も多いのですが、私は原曲どおりに演奏したほうが好きで、このハバードのような感じが好きです。

 4曲目の「カリプソ・フレッド」も好きです。これ、キーがAメジャーと難しいですが、さすがハバード、こんなキーでもサラっと演奏してしまいます。



Soul Station
Hank Mobley



1. Remember
2. This I Dig of You
3. Dig Dis
4. Split Feelin's
5. Soul Station
6. If I Should Lose You

Hank Mobley (ts)
Wynton Kelly (p)
Paul Chambers (b)
Art Blakey (ds)

1960年2月7日 録音

 ハンク・モブレー、イモテナーなんですかねぇ?私はそうは思いませんけど。

 ブルーノートらしいサウンドですね。モブレーのリーダー作は、私は聴いた限り全部同じような感じがします。だから良いのです。ハズレがない。モブレーを聴くとホっとしますね。落ち着きます。

 したがってハンク・モブレーの好きなアルバムはこれでなくても良いのです。2曲目の「This I Dig of You」が特に好きなのでこれにしました。モブレーだけでなく、ピアノのウィントン・ケリーも素晴らしいです。



Flying Home The Best of Verve Years
Illinois Jacquet



1. Speedliner
2. Pastel
3. Groovin'
4. Cotton Tail
5. Boot 'Em Up
6. Bluesitis
7. Lean Baby
8. Port of Rico
9. Where Are You?
10. Heads
11. It's the Talk of the Town
12. The Kid and the Brute
13. Sophia
14. Honeysuckle Rose
15. Stardust
16. Las Vegas Blues
17. Achtung
18. Have You Met Miss Jones?
19. No Sweat
20. Flying Home

Illinois Jacquet (ts)


1951年1月18日~1958年4月21日 録音

 ホンカーといえばまずアーネット・コブかイリノイ・ジャケーとなると思いますが、これはイリノイ・ジャケーがリーダーのものです。

 イリノイ・ジャケーといえば「フライング・ホーム」です。この曲あってイリノイ・ジャケーです。いくつか録音が残されているようですが、やはり古いこの演奏でしょう。

 このアルバムはベスト盤のようですが、そんな事はどうでも良いです。もちろん他の曲も良いのですが、「フライング・ホーム」が入っているから良いのです。しかもアルバムの最後。思いっきりブロウ!最高です。



Tetragon
Joe Henderson



1. Invitation
2. R.J.
3. The Bead Game
4. Tetragon
5. Waltz for Zweetie
6. First Trip
7. I've Got You Under My Skin

Joe Henderson (ts)
Don Friedman (p)
Kenny Barron (p)
Ron Carter (b)
Jack DeJohnette (ds)
Louis Hayes (ds)

1967年9月27日~1968年5月16日 録音

 ジョーヘンはどういうフレーズが出てくるのかわかりませんね。古臭いフレーズをやったり、モードをやったり、大幅にアウトしたりで、予想出来ないところが良いです。

 これはメンバー的にもとても良いです。曲もスタンダードからジョーヘンやベースのロン・カーターのオリジナルまで幅広いです。7曲目の「I've Got You Under My Skin」はヴォーカルの曲として有名なスタンダードナンバーですが、いかにもジョーヘンらしい演奏です。



An Evening with Joe Henderson
Joe Henderson



1. Ask Me Now
2. Serenity
3. Beatrice
4. Invitation

Joe Henderson (ts)
Charlie Haden (b)
Al Foster (ds)

1987年7月9日 録音

 ジョーヘンのトリオといえば、ロン・カーターとアル・フォスターとのビレッジ・バンガードでの2枚のライブ盤が有名ですが、私はこちらのほうが好きです。

 ベースがチャーリー・ヘイデンです。私は昔、苦手でした。私はヘイデンのやっている事はよくわかりませんが、ある時からなぜか聴けば聴くほど好きになったのです。ジョーヘンがなぜチャーリー・ヘイデンを選んだのかもわかりませんが、このアルバムは3人が合っているように聴こえます。



Impressions
John Coltrane



1. India
2. Up 'Gainst the Wall
3. Impressions
4. After the Rain
5. Dear Old Stockholm

John Coltrane (ts, ss)
Eric Dolphy (as, bcl)
McCoy Tyner (p)
Jimmy Garrison (b)
Reggie Workman (b)
Elvin Jones (ds)
Roy Haynes (ds)

1961年11月5日, ? 録音

 これはコルトレーンのアルバムでは有名です。インプレッションズという曲はジャズではスタンダードですが、その一番最初の演奏です。コルトレーンの録音は沢山ありますが、最初のこれも良い演奏だと思います。

 このアルバムの録音日は1日だけではなく、曲によってメンバーも違いますが、インプレッションズは、コルトレーン、マッコイ、ギャリソン、エルビン、とコルトレーン黄金のカルテットです。やはりこのメンバーの演奏は素晴らしいです。コルトレーンがこのメンバーで活動したのも納得出来ます。

 インプレッションズの演奏でこれ以外では、レコードで「To the Beat of a Different Drum」というアルバムの演奏が好きです。CDでは1963年のニューポートのライブで出ています。ドラムのエルビン・ジョーンズが麻薬で服役中の時でロイ・ヘインズが代役ですが、途中のコルトレーンとロイのデュオ部分が素晴らしいです。



The European Tour
John Coltrane



1. The Promise
2. I Want to Talk About You
3. Naima
4. Mr. P.C.

John Coltrane (ts, ss)
McCoy Tyner (p)
Jimmy Garrison (b)
Elvin Jones (ds)

1963年10月22日 録音

 コルトレーンは好きなアルバムが多くて困ったものです。100枚ぐらい書かないとです(^^)

 コルトレーンを在籍したレコード会社で、プレスティッジ時代、アトランティック時代、インパルス時代、に分けると、これはインパルス時代のものです。レーベルはインパルスではなくノーマン・グランツのパブロです。演奏はというと、この時代ですからモードバリバリです。「I Want to Talk About You」のエンディングのコルトレーンのカデンツア、凄すぎです。

 この中で一番好きな曲は「Mr. P.C.」です。この曲はコルトレーンの録音も沢山ありますが、私はこの演奏が一番好きです。まずマッコイがソロを取りますが、いかにもこの頃のマッコイという感じです。途中からコルトレーンとエルビンだけになりますが、これが圧倒の演奏で、どこまでも果てしなく盛り上がります。ライブ盤だからこその演奏です。



Interstellar Space
John Coltrane



1. Mars
2. Venus
3. Jupiter
4. Saturn
5. Leo
6. Jupiter Variation

John Coltrane (ts, bells)
Rashied Ali (ds)

1967年2月22日 録音

 コルトレーンで1枚ほどフリージャズを、といっても風変わりなフリージャズです。私はフリージャズが好きなわけではありませんが、コルトレーンのフリージャズは聴けます。

 このアルバム、日本名では「惑星空間」です。レコードでは4曲でしたが、CDは2曲追加されました。英語がわかる人は一発ですが、曲名は順番に、火星、金星、木星、土星、です。この録音はコルトレーンが亡くなる5ヶ月前の録音です。

 で、なぜこれが良いのかというと、デュオだからです。コルトレーン・グループはフリージャズ時代になり、ピアノのマッコイ・タイナーが抜けてアリス・コルトレーンになりましたが、私は好きではありません。それに素晴らしいジミー・ギャリソンも、フリー時代では4ビートの強烈なグルーブ感はないので、存在の意味がないです。

 後期コルトレーンでは「ビレッジバンガード・アゲイン」が傑作とも言われていますが、私にとっては面白くないです。他のアルバムでも、コルトレーンがあまりフリーキー過ぎるのもちょっと……という事で「惑星空間」が良いかと思います。

 どの曲もコルトレーンのベル、鈴から始まります。そして2人のデュオになって、最後はまた鈴になり曲が終わります。

 しかしラシッド・アリってのはナニモンですかね?このアルバムでは良いと思います。が、コルトレーン以外での演奏はどうなんでしょう?私は聴いた事ありませんが。しかも全曲パルスドラムです。パルスを発しています。コルトレーンの他のアルバムもすべてパルスです。全アルバム全曲同じパルス演奏です。パルスしかありません。何なのでしょうか?



Blues Walk
Lou Donaldson



1. Blues Walk
2. Move
3. The Masquerade Is Over
4. Play Ray
5. Autumn Nocturne
6. Callin' All Cats

Lou Donaldson (as)
Herman Foster (p)
Peck Morrison (b)
Dave Bailey (ds)
Ray Barretto (per)

1958年7月28日 録音

 ルーさん、良いですね。私はそれほど聴いたわけではありませんが、聴く限りルーさんは素晴らしいです。

 これはルーさんの代表的なアルバムでしょうかね。そうなっているかもしれません。またルーさんとずっと一緒に演奏している盲目のピアニスト、ハーマン・フォスターも良い感じです。



The Complete Concert 1964
Miles Davis ("My Funny Valentine" & "Four & More")



1. Introduction by Mort Fega
2. My Funny Valentine
3. All of You
4. Go-Go
5. Stella by Starlight
6. All Blues
7. I Thought About You
8. So What
9. Walkin'
10. Joshua
11. Go-Go
12. Four
13. Seven Steps to Heaven
14. There Is No Greater Love
15. Go-Go

Miles Davis (tp)
George Coleman (ts)
Herbie Hancock (p)
Ron Carter (b)
Tony Williams (ts)

1964年2月12日 録音

 マイルス・デイビスは時代によって演奏内容が全く違うので、人によって好みが分かれるものです。しかし全部好きだという人は……カメレオン過ぎます(^^)

 私は、ハンコック、ロンカー、トニーがいた時代が一番好きです。マイルスが電化する前のギリギリの線でアコースティック・ジャズをやっていた頃です。

 このCDは元々「Four More」と「My Funny Valentine」で別々に出ていた2枚が一緒になったものです。私は長い間知りませんでした。

 演奏はアップテンポの迫力ある曲からバラードまで全部素晴らしいです。

 メンバーのジョージ・コールマンですが、よくイモだと言われます。マイルスの自叙伝にも「オレのバンドのバックの連中がヤツを嫌った」と書いてあります。そんなにイモですかねぇ?私は結構良いと思いますが。この録音の後になる東京でのライブでは、テナーがトニーが引き連れて来たサム・リバースに代わりますが。サム・リバースは嫌いではないですが良くわかりません。まあでも結局マイルスはウェイン・ショーターを参加させたかったのですから、2人ともその途中のテナー奏者、という事になってしまいますけどね。



Miles Smiles
Miles Davis



1. Orbits
2. Circle
3. Footprints
4. Dolores
5. Freedom Jazz Dance
6. Gingerbread Boy

Miles Davis (tp)
Wayne Shorter (ts)
Herbie Hancock (p)
Ron Carter (b)
Tony Williams (ts)

1966年10月24日~25日 録音

 マイルス・デイビスのグループにテナーのウェイン・ショーターが加わってからのアルバムです。これで音楽監督はショーターになりました。

 スタジオ録音だというのに迫力ある演奏です。ライブと全然変わりません。



The Old Country
Nat Adderley



1. The Old Country
2. Bohemia After Dark
3. Jeannine
4. Almost Always
5. Love for Sale
6. One for Daddy O
7. Stella by Starlight
8. The Chant
9. Nippon Soul

Nat Adderley (cor)
Vincent Herring (as)
Rob Bargad (p)
James Genus (b)
Billy Drummond (ds)

1990年12月5日~6日 録音

 私はナット・アダレイはあまり知りません。でも別に嫌いではありません。ある日CD屋に行ったらこれが流れていて、何だか良い感じのトランペットだなあ、と思ってカウンターに行ったらこのCDで、後日、どうしても聴きたくて買いました。

 ナット・アダレイはどちらかというと控えめなトランペッターだと思います。そういう意味ではアート・ファーマーと似ています。このアルバムも控えめなところがとても良いと思います。寂しげな感じの「The Old Country」やアップテンポの「Jeannine」や「Love for Sale」などが好きです。ナット・アダレイと対照的な若手のアルト奏者、ヴィンセント・ハーリングもなかなか良い感じです。



Birds of a Feather
Phil Woods



1. Star Eyes
2. Goodbye Mr. Evans
3. Petite Chanson
4. Summer Night
5. My Old Flame
6. Nica's Dream

Phil Woods (as)
Hal Galper (p)
Steve Gilmore (b)
Bill Goodwin (ds)

1981年8月11日~12日 録音

 チャーリー・パーカー系の白人アルト奏者では、まずはフィル・ウッズでしょうね。ジャズを知らない人でもビリー・ジョエルの「Just the Way You Were」の途中のソロがフィル・ウッズだ、というとわかる人もいるでしょう。実に素晴らしいアルト奏者です。

 これはそれとは違い、かなり激しいです。1曲目の「Star Eyes」からブロウしまくっています。2曲目からはそれなりのウッズです。そして最後の「ニカの夢」でまたブロウしまくっています。アルトのブロウもこれぐらいやってくれると気持ち良いです。



Sonny Side Up
Sonny Rollins & Sonny Stitt & Dizzy Gillespie



1. On the Sunny Side of the Street
2. The Eternal Triangle
3. After Hours
4. I Know That You Know

Sonny Rollins (ts)
Sonny Stitt (ts)
Dizzy Gillespie (tp)
Ray Bryant (p)
Tom Bryant (b)
Charlie Pership (ds)

1957年12月19日 録音

 これは誰のリーダーでしょうか?アルバムに「Sonny」と名前が付いているので2人のソニーのどちらかですかね?でもガレスピー親分もいるし……

 まあそんな事は良いです。ソリストが多いので、どの曲も演奏時間が少々長めですが、飽きないです。実に良い演奏だと思います。



At the Opera House
Stan Getz with J.J. Johnson



1. Billie's Bounce
2. My Funny Valentine
3. Crazy Rhythm
4. Blues in the Closet
5. Billie's Bounce
6. My Funny Valentine
7. Crazy Rhythm
8. Yesterdays
9. It Never Entered My Mind
10. Blues in the Closet

Stan Getz (ts)
J.J. Johnson (tb)
Oscar Peterson (p)
Herb Ellis (g)
Ray Brown (b)
Connie Kay (ds)

1957年10月 録音

 スタン・ゲッツとJ.J.ジョンソンのライブ録音です。

 バックのミュージシャンも大物ばかりですが、ほとんどフューチャーされていません。よって2人の演奏が素晴らしいです。J.J.がイマイチだという人もいるようですが、そうですかねぇ?良いと思いますが。

 MJQで有名なドラムのコニー・ケイは、その昔こういう演奏をしていたようですね。私は驚きでした。



Captain Marvel
Stan Getz



1. La Fiesta
2. 500 Miles High
3. Captain Marvel
4. Time's Lie
5. Lush Life
6. Day Waves

Stan Getz (ts)
Chick Corea (ep)
Stanley Clarke (b)
Tony Williams (ds)
Airto Moreira (per)

1972年 録音

 スタン・ゲッツのアルバムでこれを出すのは変でしょうか?「ジャズ・サンバ」しか知らない人にとっては、これはゲッツではないかもしれません。ドラムもトニーですし。他のメンバーはチック・コリアの「リターン・トゥ・フォーエバー」ですし、曲もそうです。

 ゲッツはなぜこのようなメンバーを選んだのでしょうか?しかもこの後、パーカッションのアイアート・モレイラ以外の4人のメンバーでモントルー・ジャズ・フェスティバルに出演していて、アルバムも出ています。

 チックのアルバムのサックスはジョー・ファレルです。これはこれで良いのですが。こちらは巨匠ゲッツです。いやー、さすがゲッツです。ジャズ・サンバのような軽い爽やかな演奏だけではなく、こんな激しい演奏まで出来てしまいます。まあ元々バップ畑の人ですからね。

 どう聴いてもゲッツのフレーズ、ゲッツの音です。やはりゲッツは巨匠です。



Let It Go
Stanley Turrentine



1. Let It Go
2. On a Clear Day
3. Ciao, Ciao
4. Tain't What You Do
5. Good Lookin' Out
6. Sure as You're Born
7. Deep Purple

Stanley Turrentine (ts)
Shirley Scott (org)
Ron Carter (b)
Bob Cranshaw (b)
Otis Finch (ds)
Bob Simpkins (ds)
Mack Simpkins (ds)

1964年9月21日, 1966年4月15日 録音

 私はスタンリー・タレンタインが大好きです。ブルージーなクサいプレイがたまりません。

 これは割と古い録音です。この頃タレンタインはブルーノートから何枚もリーダー作が出ているようですが、私はインパルスから出ているこのアルバムのほうが好きです。

 1曲目の「Let It Go」は有名な「シュガー」の元となった曲です。シュガーはキーがCマイナー、こちらはBbマイナーですが、コード進行は同じです。

 オルガンのシャーリー・スコットは私はそれほど好きではありませんが、このアルバムでの演奏は控えめで良い感じだと思います。



Cherry
Stanley Turrentine



1. Speedball
2. I Remember You
3. The Revs
4. Sister Sanctified
5. Cherry
6. Introspective

Stanley Turrentine (ts)
Milt Jackson (vib)
Cornell Dupree (g)
Bob James (p, ep)
Hilary James (ep)
Ron Carter (b)
Billy Cobham (ds)

1972年5月17日 録音

 CTIのスタンリー・タレンタインです。

 タレンタインは良いアルバムが沢山ありますが、この「チェリー」も有名だと思います。CTIのタレンタインといえば「シュガー」かもしれませんが、どちらかというと私はこのチェリーのほうが好きです。

 タイトル曲よりも1曲目のリー・モーガンのオリジナルのブルース「Speedball」が好きですね。タレンタインらしいブルースソロが展開されています。



Speak No Evil
Wayne Shorter



1. Witch Hunt
2. Fee-Fi-Fo-Fum
3. Dance Cadaverous
4. Speak No Evil
5. Infant Eyes
6. Wild Flower
7. Dance Cadaverous [alternate take]

Wayne Shorter (ts)
Freddie Hubbard (tp)
Herbie Hancock (p)
Ron Carter (b)
Elvin Jones (ds)

1964年12月24日 録音

 ウェイン・ショーターはリーダー作を調べてみると実はそれほど枚数はないようですね。活動の割には少ないです。まあ考えて見ればそうかもしれません。ショーターは音楽監督としての才能が抜群ですからね。アート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズを変えたのはショーター、マイルス・デイビスを変えたのもショーター、ウェザー・リポートを作ったのもショーター、ジャズ界を大きく変えています。

 私はプレイヤーとしてのショーターも好きです。ショーターは真の即興演奏者だと思います。だた純粋なジャズ以外はあまり好きではありません。その中でウェザー・リポートだけは良いと思います。

 リーダー作はブルーノート時代に限ります。やはりこの時代が良いかと思います。

 有名な「ジュ・ジュ」も良いと思いますが、どちらかというとこちらのほうが好きです。全曲ショーターのオリジナルで、ショーターらしい曲ばかりです。またバックのメンバーがショーターサウンドを良い具合に出しています。



Super Nova
Wayne Shorter



1. Supernova
2. Sweet Pea
3. Dindi
4. Water Babies
5. Capricorn
6. More Than Human

Wayne Shorter (ss)
Jack DeJohnette (ds, p)
John McLaughlin (g)
Sonny Sharrock (g)
Miroslav Vitous (b, g)
Walter Booker (g)
Airto Moreira (per)
Maria Booker (vo)
Chick Corea (ds, key, vib)

1969年8月29日 録音

 ブルーノート時代のウェイン・ショーターの後期の作品です。ショーターファンからすると「こんなアルバムを出さなくても」と言われそうですが、私は(意外と?)良いと思います。

 このアルバムではチック・コリアがドラムで参加しています。といってもメインはディジョネットですが。

 この中ではおそらく3曲目の「泣きのDindi」が有名だと思いますが、私は個人的に1曲目の「スーパーノバ」が好きです。何といっても2人のギターが何をやっているのかよくわかりません(^^)。これが良いのです。特にソニー・シャーロック。この人はいったいナニモンでしょうか?何でこういうスタイルになったのでしょう?しかしこのような曲では良い感じを出してますよねぇ。

 このアルバムではショーターとソニー・シャーロックを楽しみましょう。



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