苦手なアルバム


Is
Chick Corea



1. Is
2. Jamala
3. This
4. It

Chick Corea (p)
Woody Shaw (tp)
Hubert Laws (fl)
Dave Holland (b)
Jack DeJohnette (ds)
Horace Arnold (ds)

1969年 録音

 私がチック・コリアであまり好きではない時期のアルバムです。チックのアルバムの中で好きでないものは、この頃と「リターン・トゥ・フォーエバー」のロックがかったものです。

 チックは1968年に有名な「Now He Sings, Now He Sobs」を、1972年に大ヒットした「Return To Forever」「Light as a Feather」を録音していますから、このアルバムはその間に録音されたものです。この頃、他にどういったアルバムがあるかというと、これまた私が好きでない「Song of Singing」や「A.R.C.」です。あと「Piano Improvisations」のVol.1、Vol2がありますが、これはピアノソロですので私はまだ聴けます。

 このアルバムは少々フリージャズに近いような感じです。曲名からして怪しいですよね。なぜ「Now He Sings, Now He Sobs」の後がこうなるのでしょうか?まあチックにとっては音楽の発想は同じなんでしょうが。チック自身の演奏は、もちろん他のアルバムと同じですが、曲がよくわかりません。曲名も意味がわかりません。

 なぜこのアルバムを知ったかというと、昔、中古レコード店にたまに置いてあったからです。おそらくあまり売れてなく、売れたものが中古でよく出回っていたのではないかと思いますが。ジャケットが変なのが気になり、曲名も気になり、ある時に買ってしまいました。

 良いメンバーなんですけどねぇ。ヘタするとこんな変なものが出来上がってしまいます。



Elmo Hope Trio & Quintet
Elmo Hope



1. It's a Lovely Day Today
2. Mo Is On
3. Sweet and Lovely
4. Happy Hour
5. Hot Sauce
6. Stars Over Marakesh
7. Freffie
8. Carvin' the Rock
9.I Remember You Crazy
10. Abdullah
11. Chips
12. Later For You
13. Low tide
14. Maybe so

Elmo Hope (p)
Percy Heath (b)
Philly Joe Jones (ds)
Freeman Lee (tp)
Frank Foster (ts)
Art Blakey (ds)

1953年6月18日, 1954年5月9日 録音

 どうしてもエルモ・ホープはあまり好きになれません。なぜかというと簡単、バド・パウエルがいるからです。どう聴いてもバド・パウエルがちょっとヘタになった人としか思えないのです。演奏自体がダメというわけではありません。

 似ていなければ良いのあって、似ているからからいけないのです。バドの影響が大きい人は沢山います。バリー・ハリスやハンプトン・ホーズもそうですが、やはり個性は感じられます。でもエルモ・ホープぐらい似ているといけません。

 この時代、こういう人は結構いるんでしょうね。ただエルモ・ホープは何枚もアルバムを出してますから、良いほうでしょう。

 このアルバムも、やはりちょっとヘタなバドが弾いているというように感じます。でも演奏は別に悪くはないです。

 逆に言うと、バドが素晴らし過ぎるのです。マイルスも自叙伝で「バド!とにかくバドでなければダメだ!」と書いてあります。もしバドがいなかったらエルモ・ホープはもっと活動したでしょうね。



Outward Bound
Eric Dolphy



1. G.W.
2. On Green Dolphin Street
3. Les
4. 245
5. Glad to Be Unhappy
6. Miss Toni

Eric Dolphy (as, bcl, fl)
Freddie Hubbard (tp)
Jaki Byard (p)
George Tucker (b)
Roy Haynes (ds)

1960年4月1日 録音

 私はダメです。エリック・ドルフィーは好きになれません。何が良いのかわかりません。

 ドルフィーは究極のバップをやっている、などと言われます。もしかするとそうなのかもしれません。バップと言われればバップなのかもしれません。しかし究極のバップって何でしょうか?しかもそれをやったからって私的には「何?」です。

 ジョン・コルトレーンのグループにも一時期エリック・ドルフィーが参加していましたが、私には1人だけ浮いているようにしか聴こえません。

 このアルバムをなぜ買ったかというと、知人に「Miss Toni」という良い曲が入ってるから、と勧められたからです。私はその当時ドルフィーはコルトレーンのグループぐらいしか知りませんでしたので、まあ1枚ぐらいいいか、と思って買いましたが、やはりダメでした。



Sing Me a Song of Songmy
Freddie Hubbard



1. Threnody for Sharon Tate
2. This Is Combat I Know
3. The Crowd
4. What a Good Time for Kent State
5. Monodrama
6. Black Soldier (Mimaroglu)
7. Interlude
8. And Yet There Could Be Love
9. Postlude

Freddie Hubbard (tp)
Junior Cook (ts)
Kenny Barron (p)
Arif Mardin (org)
Ilhan Mimaroglu (Syn)
Art Booth (n)
Louis Hayes (ds)

1971年1月21日 録音

 フレディ・ハバードは数多くのアルバムを出していますが、その中でおそらく唯一の異色アルバムです。

 何が異色かというと、これは普通の音楽アルバムではなく、ベトナム戦争のソンミ事件をテーマにしているのです。ハバードのこのようなアルバムは他には知りません。ベトナム戦争の最中の1968年に米軍がソンミ村の村民109人を虐殺したのがソンミ村の大虐殺事件で、これをテーマにしているため、普通のジャズではありません。

 こういうものを題材にして発表するのは良い事なのでしょうが、音楽というのは思想や宗教や戦争などが入ってくるとつまらなくなるのが常というものです。演奏者が最初からそういう系統のミュージシャンなら良いのですが、素晴らしいジャズミュージシャンがわざわざこのようなものを作らなくてもいいと思うのですが。

 内容ですが、こういうのにピッタリの電子楽器の音色や詩の朗読など本当に異色で、かなり不気味に仕上がっています。

 いつものハバードはどこへ行ったのでしょうか?良い曲を書いているハバードはどこへ行ったのでしょうか?



Crossings
Herbie Hancock



1. Sleeping Giant
2. Quasar
3. Water Torture

Herbie Hancock (p, ep)
Eddie Henderson (tp, flh, per)
Julian Priester (tp, per,)
Bennie Maupin (sax)
Buster Williams (b, eb)
Billy Hart (ds, per)
Scott Beach (vo)
Victor Domagalski (vo)
Patrick Gleeson (syn)
Delta Horne (vo)
Candy Love (vo)
Victor Pantoja (conga)
Victor Pontoja (conga)
Sandra Stevens (vo)

1971年12月 録音

 これはハービーの暗黒時代の一作品と言われていて、私もそう思います。有名なアルバムではありません。売れていたブルーノート時代の後で、この後が起死回生の大ヒット作「ヘッド・ハンターズ」です。この「クロッシング」を取り上げて褒め称えている人もいますが、私には理解出来ません。「ヘッド・ハンターズ」がなぜ比較にならないぐらい大ヒットしたのかわからないのでしょうか?

 曲がどれもよくわかりません。1曲目は25分です。聴いていられません。

 この作品はおそらくマイルスの「ビッチェズ・ブリュー」の影響があると思われます。ハービーがもしこの路線で突っ走っていったら終わっていたでしょう。

 ハービーの暗黒時代と言われるアルバムは、この「クロッシング」と、この前の「ムワンデシ」、後の「セクスタント」の3作品です。他の2つは私は少ししか聴いた事がありませんが、やはり面白くありません。「ムワンデシ」の前はブルーノートの「プリズナー」です。なぜこうも違うんでしょうか?

 ちなみに暗黒時代の3作品はレコード会社がワーナーで、その前はブルーノート、後はコロンビアです。……ワーナーさん、御苦労様です。。。



The Third World
Herbie Nichols



1. The Third World
2. Step Tempest
3. Blue Chopsticks
4. Cro-Magnon Nights
5. 2300 Skidoo
6. Shuffle Montgomery
7. The Gig
8. Hangover Triangle
9. Lady Sings the Blues
10. House Party Starting
11. Sunday Stroll
12. Terpsichore
13. Riff Primitif
14. The Spinning Song

Harbie NIchols (p)
Al Mckibbon (b)
Teddy Kotick (b)
Art Blakey (ds)
Max Roach (ds)

1955年5月6日~1956年4月19日 録音

 このピアニストを知っている人がどれぐらいいるでしょうか?「不遇なピアニスト、ハービー・ニコルス」。何を見てもそう書いてあります。ハービー・ニコルスはほとんどアルバムがありません。

 なぜ買ったかというと、本に「セロニアス・モンクに似ている」と書いてあったからです。モンクとは良く比較されているようです。

 1曲目ですが、ミディアムファーストぐらいのスイングの曲です。しかしコード進行が全く面白くありません。ソロも私にとっては全然面白くない。途中ハービー・ニコルスは場所を間違えています。この曲はキーがCですが、後テーマの一番最後、なぜだかピアノ1人だけ低いFの音で終わっています。とても中途半端な終わり方です。

 他もだいたいこのような感じです。9曲目の「レディ・シングス・ザ・ブルース」はビリー・ホリデイが詞を付けて有名になった曲ですが、やはり私は好きではありません。

 セロニアス・モンクは「孤高のピアニスト」と言われますが、真の孤高のピアニストはハービー・ニコルスではないでしょうか?



Total Response
Horace Silver



1. Acid,Pot Or Pills
2. What Kind Of Animal Am I?
3. Won't You Open Up Your Senses
4. I've Had A Little Talk
5. Soul Serchin'
6. Big Business
7. I'm Aware Of The Animal Within Me
8. Old Mother Nature Calls
9. Total Response

Horace Silver (ep)
Cecil Bridgewater (tp,flh)
Harold Vick (ts)
Richie Resnicoff (g)
Bob Cranshaw (eb)
Mickey Roker (ds)
Salome Bay
Andy Bay(vo)

1971年1月29日, 11月15日 録音

 ホレス・シルバーはファンキージャズの元祖です。ファンキージャズをやらなければなりません。ファンキーだからホレス・シルバーなのです。

「Horace Silver Trio」
「Horace Silver and the Jazz Messengers」
「Blowin' the Blues Away」
「Horace-Scope」
「Song for My Father」

 有名ですよね。全てブルーノートから出ていて、素晴らしいアルバムばかりです。もちろん他にも沢山あります。ホレスはブルーノートのピアニストの第一人者でした。

 しかしブルーノートのホレスはファンキージャズだけではありませんでした。アルバムリストを見ると4300番台から変なアルバムがいくつか出ています。

 どうも1960年代の終わり辺りから変わったようで、自分の思想を音楽に取り入れるようになりました。もちろんミュージシャンとして思想を曲で表現するのは構いません。しかし音楽というは思想や宗教などが入れば入るほどつまらなくなるのが常というものです。

 この「トータル・レスポンス」は「人心連合」という3部作の2作目です。1作目と3作目は私は知りません。「人心連合」……いったい何でしょうか?それまでのファンキーなホレスはどこへ行ったのでしょうか?ジャケットの表情は?ホレスはどうしたのでしょうか?

 ホレス・シルバーの中では異色の作品です。内容はジャズロックかフュージョンかソウルのなり損ないのような感じで、全編ヴォーカルがフィーチャーされています。ソウル系のミュージシャンでは評価している人もいるようですが、ジャズ屋としては頂けませんねぇ。こんなのはホレスではないです。

 ホレスはこの後ブルーノートにいくつかのアルバムを残して、しばらく活動停止します。

 そして随分経ってファンキージャズで復活しました。そう!それでこそホレスです。やはりホレスはファンキーでなければならないのです。



Infinity
John Coltrane



1. Peace on Earth
2. Living Space
3. Joy
4. Leo

John Coltrane (ts)
McCoy Tyner (p)
Jimmy Garrison (b)
Elvin Jones (ds)
Alice Coltrane (p, org, harp, vib, tamboura, tympani)
Charlie Haden (b)
他 (strings)

1965年6月16日、? 録音

 ジョン・コルトレーンは私が高校時代から好きだったテナー奏者です。レコードやCDも沢山買いました。今では発売された音源はほぼ全部持っています。

 コルトレーンは活動時期を在籍したレコード会社で大きく分けて、プレスティッジ時代、アトランティック時代、インパルス時代、となりますが、私は個人的にはインパルス時代のフリージャズの前までが一番好きです。「アフリカ・ブラス」から「トランジション」までです。いえ、どの時代もコルトレーンは素晴らしいです。フリーも含めてです。

 これだけ好きなコルトレーンの中で、唯一嫌いなアルバムがこの「インフィニティ」です。これは正確にはコルトレーンの純粋な演奏ではなく、アリス・コルトレーンが勝手に後から切り貼りしたり、色々なものをオーバーダビングしたりしたアルバムです。しかも自分の表現したい事をです。だから嫌いなのです。アリス・コルトレーンの名義なら別にいいのですが、ジョン・コルトレーンの名義になっているから困ったものです。

 私はアリス・コルトレーンの演奏は理解出来ません。昔はバップをやっていたようです。が、少なくともコルトレーン・グループに参加してからの演奏は、そういう感じに聴こえるものは1つもありません。リーダー作は宇宙音楽ばかりで買う気にもなりません。

 内容はというと、どの曲も変なイントロが付け足されて、演奏時間が引き延ばされて、その部分にアリスのよくわからないピアノやハープやビブラフォンやオルガンなどのソロが追加されています。またストリングスも入っているのですが、集団でフリーしています。実に気持ち悪い演奏です。

 このアルバムはコルトレーンの死語に発表されたものなので、コルトレーン本人の意図に関係なくアリスが好き勝手に改悪して発売したものです。それを「ジョン・コルトレーン」の名義で発売するとはどういう事なんでしょうか?

 この4曲中、4の「Leo」以外の3曲は後からオリジナルの演奏が出ました。いくら相手が旦那とはいえ、やっていい事と悪い事があります。どうでもいいミュージシャンなら別にいいですが、偉大すぎるコルトレーンですからね。自分が表現したい事は自分のアルバムでやればいいです。



How Long Has This Been Going On?
Sarah Vaughan



1. I've Got the World on a String
2. Midnight Sun
3. How Long Has This Been Going On?
4. You're Blase
5. Easy Living
6. More Than You Know
7. My Old Flame
8. Teach Me Tonight
9. Body and Soul
10. When Your Lover Has Gone

Sarah Vaughan (vo)
Oscar Peterson (p)
Joe Pass (g)
Ray Brown (b)
Louie Bellson (ds)

1978年4月25日 録音

 偉大なジャズ・ヴォーカリストですね。もちろんそれはわかりますが、私は好きになれません。なぜかというと、声が女性ヴォーカルとは思えないからです。

 ヴォーカルの好き嫌いは声質の理由が90%と聞いた事がありますが、そうなのかもしれません。そう、私はサラの声質がダメなのです。

 これはおそらく名盤に上げられると思います。ピアノはピーターソンです。ピーターソンがバックをやっているヴォーカルのアルバムはあまり数はありませんが、出ているものはどれも素晴らしい演奏ばかりです。エラとのデュオなど最高です。

 このアルバムもピータンソンがバックという事で買ってみたのですが、やはり私はいただけませんでした。



Sonny Rollins Plus Four
Sonny Rollins



1. Valse Hot
2. Kiss and Run
3. I Feel a Song Coming On
4. Count Your Blessings
5. Pent-Up House

Sonny Rollins (ts)
Clifford Brown (tp)
Richie Powell (p)
George Morrow (b)
Richard Powell (b)
Max Roach (ds)

1956年3月22日 録音

 これは名盤ですね。でも私はあまり好きではありません。演奏内容は別に悪いとは思いません。メンバーも素晴らしいです。

 1曲目の「バルス・ホット」と5曲目の「ペント・アップ・ハウス」は日本人もよく演奏する有名な曲ですが、これらが私はあまり好きでないのです。だからなのですね。

 ちなみにロリンズの有名な曲であまり好きでない曲はこの2曲だけです。安心してください(^^)



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