再燃2回目
2000年4月

 前回の寛解後、5年経って……もう病気は過去の事で、すっかり忘れていたのですが……

2000年4月16日

 この日に毎年恒例の花見があったのですが、もしきっかけがあったとすればこの飲み会しか考えられません。ただ酒の量が特に多かったわけではありません。この日の量ぐらい飲んだ事は結構ありました。それに以前の発症と再燃は酒とは関係ありません。しかしこの後の腹具合の不調をさかのぼって考えると、この飲み会しかないです。でもきっかけになったのかはわかりません。

2000年4月下旬

 下痢が始まりました。最初は普通の下痢だと思っていたのですが……どうにも経過が以前の潰瘍性大腸炎の症状と似ていました。間違いありません。マズいです。

2000年4月28日

 以前お世話になった東京大学付属病院分院へ行きました。医者に症状と、前に潰瘍性大腸炎を2回やったのを言うと「おそらく潰瘍性大腸炎でしょう」と。ああ、また再燃です。

 とりあえずサラゾピリンを処方され、2週間後に大腸内視鏡検査を行なう事になりました。しかしその間に病状はひどくなりました。しかもそれまで経験した症状よりひどいです。早く病院へ行きたいのですが、この時期はゴールデンウィーク中ですからどうにもなりません。

2000年5月上旬

 この頃はライブが終わってからの帰りが相当きつかったです。家の最寄り駅が2つあり、遠いほうでも歩いて10分程度でしたが、駅のトイレに行ってからたったの10分の間に何度も腹痛が起きてトイレに行きたくなり、家にたどり着くのも大変でした。

2000年5月12日

 やっと大腸内視鏡検査を行ないました。やはり潰瘍性大腸炎です。しかし前回と違ったのは、肛門から大腸全体に病状が見られると……全大腸型です。前回までは肛門部から大腸の左側部分まででした。最悪です。

 そして初めてペンタサという薬を処方されました。サラゾピリンと主成分は同じで副作用が少ない、のような感じの薬です。ステロイドは医者に言ったのですが、処方はありませんでした。

2000年5月13日~24日

 ペンタサを処方されたのですが、病状は良くなるどころか悪くなり、仕事を10日以上休まざるを得なくなりました。やはりステロイドでないと良くならないようです。後から考えると、12日にステロイドを処方されていたら、もっと早く良くなっていたはずです。

 この頃が一番症状のひどい時期でした。下痢、下血、腹痛、微熱、最悪でした。夜も2時間おきに腹痛で起こされ、熟睡も出来ませんでした。

2000年5月24日

 ステロイドのプレドニンを追加で処方されました。なぜか飲んだその日に調子が良くなったような気がします。トイレの回数が減りました。ステロイドはそういう即効性の薬ではないのですが。

 ライブもしばらく休んでいましたが、再開しました。トイレだけ気を付ければなんとか出来そうです。

2000年5月25日~

 徐々に病状は良くなり、ステロイドも少しずつ減っていきました。

 ただ、たまに下血をする事がありました。しかしステロイドは一旦増やすと減らすのが大変です。そこである時から、ステロイドの注腸剤を使う事になりました。自分で注腸するものです。副作用は経口の1/10との事でした。これで下血も止まりました。若干の体調不良ながらも、仕事も出来ました。

 この状態が半年続いたのですが……

2000年11月27日

 この前日は理科大ジャズ研の学祭に遊びに行き、深夜まで飲み会がありました。その翌日です。夕方外食をした後、突然腹具合が悪くなりました。途中我慢出来ずに急いでトイレへ行きました。こんな事はこれまでありませんでした。前日に飲んだ酒の量は普通で、記憶がなくなるほど飲んだわけではありません。しかしこの日から腹具合が悪くなったのは確かです。食事をするとトイレへ行きたくなるという現象が起き始め、その回数も少しずつ増えていきました。次第に外食が嫌になりました。トイレの回数も増え続けました。

2000年12月中旬

 また下血が始まりました。注腸剤はずっと使っています。これ以上の薬となると、経口のステロイドを増やすしかありません。仕方なくステロイドは増えました。5月頃ほどの量ではありませんでしたが。

2000年12月下旬

 酒と外食をやめました、やはりトイレが気になります。食事はほとんど、うどん、ぞうすい、もち、鍋、魚、缶詰、等だけです。忘年会や新年会シーズンですが、酒は飲めないし、何も食べられません。というより、もうそのような所へ行くこと自体がきついです。

2001年正月

 正月付近は11日間休みがありましたが、こんな状態では何も出来ません。実家に帰るのもやめました。買い物以外は、家でテレビを見たり、パソコンを触ったりしているだけです。正月休みの前半は下血が治まっていて、これで良くなるかと思っていました。ところが休みの後半、また下血が始まり、トイレの回数も増えてしまいました。とてもマズい状態です。新年会どころではありません。すべてキャンセルです。

2001年正月明け~2月末

 正月休みが終わり、下血だけはなんとか止まりました。しかしまたいつ悪くなるかわかりません。ステロイドはあまり長期間使うと効果がなくなり、副作用ばかり目立ってしまいます。このまま仕事を続けていいのかどうかを悩みました。医者にも相談し、演奏の仕事をしばらく休む事にしました。演奏仕事は不規則な生活ですし、良い意味でも悪い意味でもストレスがあります。1月と2月のライブはすべてキャンセルしました。

2001年中旬

 病状は少し落ち着きました。

2001年2月

 血液検査があり、検査上では、病気自体はそれほど大した事はないという結果でした。病状と合ってないように思えましたが、少しは安心しました。

2001年3月

 病状は1月中旬からあまり変わりませんでしたが、ライブ活動を再開しました。ステロイドは少しずつ減っていたので、良くなっているといえば良くなっています。でもまだたまに下血があります。あと風邪をひくと必ず下血をします。ただ下血の頻度は減っていきました。

2001年4月下旬

 病院を家から近くの総合病院にしました。それまでは住んでいたアパートから近かったのですが、引越して遠くなったからです。

2001年5月4日

 突然白内障になりました。朝起きると見え方がいつもと違い少し曇って見えるので、後日眼科へ行くと白内障と診断されました。アトピーで目が腫れていた時でした。ステロイドの副作用か?アトピーか?わかりませんが、ステロイドの副作用で突然なるのは考えにくいので、アトピーか、複合的な事ではないかと思います。

2001年5月26日~6月3日

 突然めまいがしました。下血による貧血なのかわかりませんが、病気による何らかだと思い、病院へ行って症状を言うと、ステロイドが少し増えました。

 おそらくすぐには治らないと思ったので、ライブを1週間キャンセルしました。

2001年6月11日

 1年ぶりに大腸カメラ検査を行ないました。結果は良くなかったです。さらにステロイドの量が増えました。少し前にステロイドを増やしたにも関わらず病状も変わりません。飲み過ぎて効かなくなってきたのかもしれません。このままだと入院しなければならないかもしれません。

2001年6月25日

 入院を決めました。

 6月11日にステロイドの量が増えたのですが、全く良くなる気配はありません。もう効かなくなっているとしか思えません。相変わらずトイレ状態は悪いので減らす事も出来ません。腹具合だけでなく、飲みすぎで体の状態が変になっているような感じもありますし、長期入院の可能性を考えて精神的にも少しおかしくなっています。

 通院ではこれ以上増やす事も出来ませんし、副作用も気になります。もはや通院で改善する方法はないです。仕方なく入院を決めました。入院は何日や何週間の単位ではなく、どれくらいになるかわかりません。手術の可能性もあります。残念です。

2001年7月5日

 入院の病院を変更する事になりました。この前日にネットの掲示板で会話をしていたある人から電話がかかってきました。その人は昔、潰瘍性大腸炎で入院した事があり、それ以来ずっとお世話になっている医者がいて、紹介してくれるというのです。

 急遽、翌日にFAXされた紹介状を持ってその病院へ行きました。するとその日に前処置なしで炎症部分だけ大腸カメラで診てくれました。結果はやはりひどかったです。入院もすぐ可能との事でした。

 家から少し遠かったのですが、その病院に入院する事にしました。

2001年7月9日

 長い長い地獄の入院生活が始まりました。



※二度とやりたくない最悪の生活

 これは2000年5月のひどい時の私です。

1. トイレ

 とにかく潰瘍性大腸炎の患者はトイレトイレトイレ。嫌でもトイレ中心の生活になります。だいたい30分~1時間に1回はトイレ。水分をとると胃腸が刺激されトイレ。何か飲むたびにです。しかし水分が不足しているので飲まないわけにいかない。だから飲む、トイレ、飲む、トイレ……です。

 食事がまたきついです。あらかじめトイレへ行ってからご飯を食べ始める。すると胃腸が刺激されすぐトイレへ。食事中にトイレです。こんな状態ですから外食なんか出来ません。

 それと何か外的な刺激があってもお腹が痛くなります。例えば、静かな部屋で突然電話が鳴るとか、テレビで突然大声で怒鳴るシーンがある、などです。

 どこかへ出かける時は電車です。それも各駅停車。快速等はすぐトイレに行けないからダメです。バスもすぐトイレに行けないのでダメです。ですので外に出るのは必要最低限のみ。ぶらぶらと出かけるなんて、トイレを探しに行くようなもんです。

 夜も同じ調子です。最高に寝ても2時間。1時間おきにはお腹が痛くなって起こされます。これでは熟睡なんか出来ません。

2. 食事

 ひどくなると食欲は低下します。量も食べられなくなります。ごはんは茶碗半分。うどんも半分。おかずもいつもの半分以下。食欲がないため美味しくないです。病気中はカロリーをとったほうがいいのですが、量が食べられないので、飲み物はなるべく高カロリーの甘いジュースなどにするしかありません。

3. 全体的に

 こんな状態ですから何もやる気は起きません。というか、何も出来ません。ぼーっと寝てるだけです。まあこれだと起きているよりは少しトイレに行く回数が減りますが。しかも食事がロクに取れないので、頭も少しぼーっとしています。結局、お腹が痛くなるのを待っているだけの生活です。

 この病気は特定疾患なので申請すれば、2000年現在、医療費の月額の自己負担は、

・通院は最高2,000円
・入院は最高14,000円

で済みます。

  しかし!

 この月額と病気の苦しみは比較になりません。2000円?いや、20万円、いや200万円出して完治できるものなら絶対にそうしたいです。